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借金の時効援用日記 令和2年9月24日(木)

2020/09/24
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本日はご依頼をいただいた①求償債権の時効援用②特定調停後の時効援用③JICCのみに登録している業者の時効援用後の信用情報④アウロラ債権回収から届いた書面の注意点の4件を簡単ではございますがご紹介いたします。詳しくは下のボタンでチェックしてください。

 

まず、消費者金融や信販会社の借金の場合、5年以上払っていない、5年以上話し合いをしていない、10年以上裁判をしていない、この3つの条件が揃っていれば時効期間は完成しているので、あとは【時効援用】をすることで借金は消滅します。

 

①求償債権の時効援用

こちらはもともと伊予銀行のカードローンの借金だったのですが、ジャスティス債権回収から請求が来ているという案件でした。

銀行の貸付には『保証会社』を付けて契約をするのが一般的で、このお客様の場合は、いよぎん保証という会社の連帯保証契約が付いていました。

この場合、銀行で延滞をすると、銀行は保証会社に返済をさせます(これを代位弁済といいます)。

これで法律上、銀行の借金は保証会社が払ったことにより消滅(解決)します。

そして、今度は保証会社が銀行に払ったお金の弁償を請求する権利が発生します。この権利のことを【求償債権】といいます。

つまり、銀行の借金そのものではなく、銀行の借金が消えた後に発生した別の借金ということです。

ですので、銀行の借金では時効の条件は、代位弁済から5年以上経過していること、5年以上払っていない、5年以上話をしていない、10年以上裁判をしていない、この4つの条件が揃っていれば時効期間は完成となります。

 

②特定調停後の時効援用

特定調停は、時効期間をリセットする【時効中断】(改正後民法では【更新】)の効力があり、時効中断の種類は大きく分けて『(裁判上の)請求』『強制執行』『承認』と3つあり、そのうちの『裁判上の請求』に当たります。そして、裁判で確定した借金には強制執行力が付いて、時効期間は5年ではなく10年に延びます。

ですので、特定調停をした借金の時効の条件は、特定調停から10年以上経過していること10年以上強制執行をされていないこと10年以上払っていない、10年以上話をしていない、10年以上裁判を起こされていない、この5つの条件が揃っていれば時効期間は完成となります。

このお客様の場合は【執行文】というものが送られてきたのですが、執行文とは『強制執行ができるお墨付き』の様なもので、まだ『強制執行自体』はされていないので時効中断にはなりませんので時効援用をすることで借金は消滅します。

【時効中断】について詳しくは下のボタンからご覧ください。

 

③JICCのみに登録している業者の時効援用後の信用情報

JICCのみに登録している業者相手の時効援用の場合、時効援用で借金が消滅すると、JICCに登録されている情報(いわゆるブラックリスト)は抹消されます。

このお客様の場合は、別件では延滞もなく綺麗な情報だけになるので、時効援用後JICCのクレジット情報欄は完全にきれいになります。

ところが、このお客様の場合、今月銀行のカードローンの審査に落ちていますので、照会記録欄に銀行と保証会社が審査をした記録が6か月残ってしまいます。

ですので、クレジット情報はきれいになっていても、数か月前に審査に落ちているということは「今は信用情報に載っていない何かがあった」ということになるので審査に通りにくくなります(いわゆる申込ブラック)。

つまり、このお客様の場合、延滞中のブラックリストは時効援用後すぐに消えますが、申込ブラックの悪循環を断ち切るために、6か月間はローンの申し込みはしない方が良いとアドバイスいたしました。

 

④アウロラ債権回収から届いた書面の注意点

【支払いの催告に係る債権の弁済期】の日付が明らかにおかしい案件でした。

【支払いの催告に係る債権の弁済期】とは、本来はその日に入金する約束であった日付を意味するのですが、この案件の場合は転々と債権譲渡(借金が売買されて債権者が交代している)のですが、2回目の債権譲渡の日付と支払いの催告に係る債権の弁済期の日付が一致していました。

一般論ではございますが、入金予定日に債権譲渡をすることは無いと思います。お客様のご記憶でも間違いなくデタラメな記載であるとのことなので受任いたしました。

実はこのようなデタラメな記載は借金の時効援用実務の現場ではよくあることなのでご注意ください。