借金の時効援用における【信義則】とは?
民法の基本原則の一つに信義誠実の原則(信義則)というのがあります。
借金を5年以上払っていない場合でも、信義則に反する場合は時効援用ができなくなる事があります。
では、どのような場合は信義則に反して、どのような場合が信義則に反しているとはいえないのでしょうか?
ここでは、実際の裁判事例を基に借金の時効援用における【信義則】について解説します。
▼そもそも【信義則】とは?
権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければいけない(民法第1条2項)とあります。
社会共同生活上一般に期待されている信頼を裏切ってはいけないということです。
▼信義則に反する場合、時効援用はどうなるの?
信義則に反する行為は不法行為となりますので時効援用は認められません(無効=時効援用をしなかったのと同じ)。
すなわち、借金は時効で消滅しません。
実際の裁判事例では、以下のようになっています。
×時効完成の事実を知らずに減額和解をした事例(最高裁判決:昭和41年4月20日)
時効期間完成後、減額や分割の和解をすることは、相手方は減額の和解で払ってもらえる(時効は援用しない)と考えるであろうから、信義則に照らし、時効の援用を認めないのが相当としました。
ただし、このようなケースであっても、減額や分割の和解から再び5年以上放置された場合は時効援用ができます(時効援用をしないとは考えられないから)。
〇訪問時に2,000円を返済した事例(宇都宮簡易裁判所:平成24年10月15日)
時効期間完成後に債権者が訪問した際に2,000円を返済したものの、訪問・請求に対する反射的な反応の域を出ず(債務承認をしたわけではなく、その場しのぎの対応)、時効援用をしないという信頼を信義則上保護することが相当と認められる状況は生じていないことから、時効援用ができるとしました。
×債務整理を受任した弁護士が受任通知発出後、債務整理を行わず、貸金業者の報告依頼を無視し続けた結果、時効期間が完成した事例(東京地方裁判所判決:平成25年5月31日)
この弁護士さんの対応は、貸金業者の訴訟提起を事実上困難にしたと認定し、その状況下で時効期間が経過したからといって時効援用をするのは信義則上許されないとしました。
〇支払督促を無視した事例(宮崎地方裁判所判決:令和2年10月21日)
時効期間完成後に支払督促を申立てられたにも関わらず時効援用をせずに無視をしたとしても、そのような消極的対応は、時効援用をしないと考えるものとまではいえないので、支払督促を無視した後でも時効援用をすることは、信義則に反するとはいえないとしました。
▼まとめ
債権者に対して時効援用をするにしても、ネット上では出所不明の都市伝説の様な情報も出回っていますので、法律や裁判事例など、出所の明確な情報を参考にするのが良いと思います。
それでも、インターネットの知識だけで行うのは非常に難しいものです。
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