借金を時効援用で消したいけれど、改正前民法と改正後民法どちらでやればよいの?
借金の時効援用をする上で、民法は法的な根拠になる重要なものです。
借金の時効援用に関する民法の規定が改正され令和2年(2020年)4月1日に施行されましたが、改正前の民法(以下『旧民法』とします)と改正後の民法(以下『新民法』とします)のどちらを使えば良いのでしょうか?
ここでは、借金の時効援用にスポットを当てて、民法改正に関する経過措置について解説します。
▼2025年4月2日までは新しい民法の規定による時効援用は無い!?
2020年に民法改正が施行されたので、これから時効援用をする場合、新民法の規定が適用されると勘違いされている方が時々見受けられますが、それは間違っております。
まず、法律の原則といたしまして、『あらかじめ法律によって規定されていることが必要』という原則があります。
つまり、後出しの法律によって裁かれることはないのが法律の大原則ということです。
▼借金の時効についての民法改正のポイント
■消滅時効について変更していない事項
・時効によって借金が消滅する
・時効の効力は、その起算日にさかのぼる
・時効援用をしなければ借金は時効消滅しない
・時効期間経過前に時効の利益は放棄できない
・判決で確定した借金の時効期間は10年になる
■新民法で改正された事項
・借金の時効援用ができる人(当事者)について具体的明記が追加された
・旧民法の『時効中断』が『更新』となった
・『時効の完成猶予』が規定された
・旧民法の『時効の停止』が『時効の完成猶予』となった
・従来『裁判上の催告』として債権者を救済していたケースを『時効の完成猶予』として明確に規定した
・旧民法の『短期消滅時効』の廃止
・旧法制下の『商事時効』も廃止された(商法改正)
・債権者が請求できることを知ったときから5年、請求できることを知らなかった場合は、請求が出来たときから10年を時効期間の原則とした
▼時効に関する経過措置
時効については、施行日以後に発生した借金については新民法が適用され、施行日以前に発生した借金は旧民法が適用されます(平成29年法律第44号附則10条)。
施行日以後に発生した借金であっても、施行日以前にその借金の原因となる法律行為があった場合は旧民法が適用されます。
例えば、銀行のローンを組んだときに保証会社が付いているのが一般的なのですが、施行日以前に保証契約を交わしていた場合は、実際に保証履行がされたのが施行日以前か以後を問わず旧民法が適用されます(平成29年法律第44号附則10条1項)。
▼減額や分割和解(債務整理など)に関する経過措置
施行日以前に協議を行う旨の合意書面が作成された場合は旧民法が適用されます。
ただし、施行日以前に発生した借金であっても、施行日以後に合意書面が作成された場合は新民法の適用により、時効完成猶予の効力が生じます(平成29年法律第44号附則10条3項の反対解釈)。
▼まとめ
時効援用は法律で定められた制度ですので公のルールに従い実施する必要があります。
もし時効援用書面作成に不安を感じる場合は、泉南行政書士事務所にご相談ください。
5年以上放置された借金は【時効援用】をすることで時効消滅します。
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